人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」とは|AI研修での使い方
事業展開等リスキリング支援コースの3類型、助成率、時間別上限、AI研修で確認すべき要件を令和8年度の公式資料から解説します。
事業展開等リスキリング支援コースは、新規事業やDX・GXなどに必要な知識・技能を従業員が学ぶ費用を助成する、人材開発支援助成金のコースです。令和8年度は経費助成率が中小企業75%、大企業60%で、2027年3月31日までの時限措置です。生成AI研修は通常「② DX・GXに伴う訓練」で検討し、2026年度に追加された③の要件と混同しないことが重要です。
※助成金の支給を保証するものではありません。支給の可否・金額は労働局の審査によります
3類型とAI研修の位置づけ
令和8年度の実施訓練実施計画届では、対象訓練を3つに分けています。
| 類型 | 対象となる考え方 | AI研修との関係 | 認定経営革新等支援機関の確認 |
|---|---|---|---|
| ① 事業展開に伴う訓練 | 新商品、新サービス、新たな分野への進出に必要 | AIを使った新サービス開発など、事業展開との関係が明確な場合 | 書式上の確認欄なし |
| ② DX・GXに伴う訓練 | デジタル技術を活用して業務や事業を変えるために必要 | 生成AIの業務利用、AI駆動開発、データ活用などで通常検討する類型 | 不要 |
| ③ 人事・人材育成計画に基づく訓練 | 企業の人事・人材育成計画に位置づけた訓練 | AIに限定されない。令和8年度に追加 | 中小企業は確認が必要 |
表の内容は2026年7月24日に厚生労働省の申請様式で確認しました。認定経営革新等支援機関の確認欄には「上記1で③にチェックした場合」と明記されています。②のAI研修にまで同じ確認が必要だと解釈しないようにします。
助成額は経費助成と賃金助成に分かれる
令和8年度の主な助成内容は次のとおりです。
| 項目 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 経費助成率 | 75% | 60% |
| 賃金助成 | 1,000円/人・時 | 500円/人・時 |
| 10時間以上100時間未満の経費上限 | 30万円/人・訓練 | 20万円/人・訓練 |
| 100時間以上200時間未満の経費上限 | 40万円/人・訓練 | 25万円/人・訓練 |
| 200時間以上の経費上限 | 50万円/人・訓練 | 30万円/人・訓練 |
表の数値は2026年7月24日に厚生労働省の令和8年5月14日版・詳細パンフレットで確認しました。経費助成は「対象経費×助成率」と「対象者数×1人あたり上限」を比べ、低い方が上限になります。制度全体の計算例はAI研修に使える助成金・補助金まとめで確認できます。
※助成金の支給を保証するものではありません。支給の可否・金額は労働局の審査によります
主要要件のチェックリスト
| 確認 | 要件 | 実務で見る資料 |
|---|---|---|
| □ | 事業主が雇用保険適用事業所である | 雇用保険適用事業所設置届など |
| □ | 受講者が訓練期間を通じて雇用保険被保険者である | 受講予定者名簿、雇用保険加入状況 |
| □ | 通常業務と区別したOFF-JTである | カリキュラム、時間割、実施場所 |
| □ | 実訓練時間が10時間以上である | 休憩を除く時間数 |
| □ | 事業展開またはDX・GXなどとの関係が説明できる | 事業計画、対象業務、到達目標 |
| □ | 計画届を原則として開始1か月前までに出す | 社内稟議、研修契約、計画届 |
| □ | 出欠・受講状況と訓練費用を証明できる | 受講記録、請求書、領収書 |
計画届の提出可能期間は、原則として訓練開始日の6か月前から1か月前までです。1か月を切ってから研修会社を決める進め方では間に合わないため、稟議・対象者確定・労働局への確認を前倒しします。
※助成金の支給を保証するものではありません。支給の可否・金額は労働局の審査によります
2026年度の実施状況報告は③だけ
2026年度改正で、訓練後の職務従事を確認する実施状況報告が追加されました。ただし、厚生労働省の令和8年3月以降の申請書類ページでは、報告書を「人事・人材育成計画に基づく訓練のみ」と案内しています。
通常②で検討するAI研修に③の報告義務をそのまま当てはめるのは正確ではありません。一方で、どの類型でも計画と実施内容が一致すること、出欠や支払の記録を残すことは必要です。採用する類型に応じて、最新版の様式一覧を確認してください。
よくある誤解
研修会社が指定されている
国がAI研修会社を一律に指定する制度ではありません。対象になるかは、受講企業、受講者、研修目的、時間、経費、届出などを組み合わせて審査されます。研修会社の宣伝文だけで判断せず、カリキュラムと制度要件を照合します。
半日のセミナーでも国制度の対象になる
3時間や6時間の単発セミナーは、事業展開等リスキリング支援コースの10時間要件を満たしません。短時間研修には東京都のような別制度が設けられている場合がありますが、対象地域や併給制限が異なります。
研修費を払う前に助成額が入金される
助成金は、計画届を出し、訓練を実施し、費用を支払い、支給申請と審査を経た後に支給されます。研修開始時点の資金繰りでは、研修費と受講中の賃金をいったん事業主が負担する前提を置きます。
※助成金の支給を保証するものではありません。支給の可否・金額は労働局の審査によります
導入前に労働局へ確認する順番
- AIで変える業務と、研修で身につける技能を整理する
- ②DX・GXで説明できるカリキュラムと10時間以上の時間割を作る
- 雇用保険被保険者だけで対象人数を確認する
- 見積書、訓練実施者、出欠管理の方法をそろえる
- 管轄労働局へ類型と対象経費を確認し、計画届を出す
研修内容を先に決め、その後に制度へ当てはめるほうが、学習目的と助成要件を混同しにくくなります。助成率だけを起点にカリキュラムを長くするのではなく、必要な演習時間を積み上げてください。
参照した一次情報
一次情報の確認日: 2026年7月24日
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